ちんぽと金魚
こだま作『夫のちんぽが入らない』を読んだ。
手に取りにくいタイトルだけれど、表紙のデザインのお陰で人前で出しても恥ずかしくない。そう信じて読書家の母にお勧めしたが、眉間にしわを寄せるだけでそれ以上話が進展しなかった。
こだまさん夫婦は兄弟みたいなの、羨ましい。
幼い頃に行った、地元の小さな夏祭りでの金魚すくい。投げ売りされている金魚。ポイとかモナカですくうんじゃなくて、ふつうの網ですくう。
大量にすくってきた数十匹を水槽に入れた途端に次々と水面に浮かんできたのを思い出した。
もう動かなくなった金魚たちを処理する母に向かって、「いいなー!あたしもやりたい!!」羨ましがった。
私は余計なところで子どもらしさを出したかったのだけ覚えている。いつまでたっても子どものままでいた。狭い庭に埋めた、どこに埋めたかはもう思い出せない。羨ましいって思おうとしたことだけ覚えている。大人になりたくなかった。
多くの仲間を見送った金魚は一匹だけしぶとく生き残っていたが、今日、水面に浮かんでいた。大人になれない。